9月17日(土) 午前11時頃


今日も今日とて、工具楽家居間ではGHKなる組織の秘密の会合がおこなわれていた。
土曜日なので緊急の本業がない限り工具楽屋も基本的には休みだが、
我聞は都合よくトレーニングに出ている。

「これより、GHK緊急会議を行いたいと思います」
「姉上、緊急とのことですが、今日の議題は?」
「うむ! 実は、わたくし大変なことを思い出しました!」
「なんと!?」
「今日はなんと、陽菜さんのお誕生日なのです!」
「「「おお〜!」」」
「だがしかし、誕生日といえど知り合いの少ない陽菜さんのこと、
 誰か一緒に祝ってくれる人がいるとも思えません・・・
 そこで! 我が家に陽菜さんを招待して、我々で祝ってあげようじゃありませんか!」
「ぱーてぃーだ!」
「お誕生会だ!」
「・・・それは確かに、素晴らしいことだと思いますが・・・
 しかし姉上、それはGHKの目的にかなうものなのでしょうか?」
「ふふふ、いい質問だね斗馬君。 確かに、ただ祝うだけでは目的達成のための手段とは言いがたい!
 だがしかし! この誕生会、これはあくまでお膳立てに過ぎないのだよ・・・」
「そ・・・それはつまり、目的はほかにあると?」
「そのとおり!
 普段一人暮らしの陽菜さんに、アットホームな雰囲気でのお誕生会がどれだけ心温まるか!
 そうやって心を温もらせておいて、我が兄をけしかければ・・・
 普段ならいざ知らず、そうやって気の緩んだ二人をくっつけて部屋に押し込んでしまえば、
 いくら朴念仁な二人でもさすがに意識せずにはおられまいかと!」
「た、確かに普通ならそうだと思うのですが・・・言いたくはないですが、あの二人・・・
 特に我らが兄上殿の朴念仁っぷりは並ではないですから・・・果たしてそれだけで上手くいくでしょうか・・・」
「ふっふっふ・・・まだまだ甘いね、斗馬君!
 確かに素の二人ならそのとおりだが、こんな時のためにこんなものを準備させていただきました!」

そういって果歩が取り出したるは、二本のワイン瓶。

「そ・・・それはっ! 我々未青年には禁断のアルコール!」
「ふふふ・・・言ったはずよ・・・もはや犯罪も辞さない覚悟と!
 いくらお堅い陽菜さんでも、お誕生会の雰囲気なら少しくらいは口にするはず!
 兄の方は乗せれば幾らでも呑むだろうし、適度な酔いが二人の気分を盛り上げること間違いなし!」
「なるほど・・・しかし、もしもです、陽菜さんが実はザルだった、なんて落ちはありえないでしょうか・・・?」
「む・・・そ、そのときは物量作戦で・・・」
「ふふふ・・・果歩ちゃん、まだ中学生なのに恐ろしい、いや素晴らしい作戦だったけど、
 まだちょっと詰めが甘いようだね・・・」
「・・・? 優さん、もしかして、なにかいいアイデアが!?」
「うふふふふ・・・こんなこともあろうかと!
 実は既に、ちょっとばかりいかがわしいお薬を開発済みなのですよ!」
「「おおお〜!?」」
「はい! いかがわしい、って、なに〜?」
「うふふ・・・珠ちゃんにはまだ早いかしらね、
一言で言えば、小学生には話せないような気分になっちゃうお薬とでも言っておきましょうか・・・
これをお酒に仕込んで、我々は無効化剤を先に服用しておく、そうすればもう完璧!」
(そういう話を小学生の前でしちゃうのはいいんだ・・・)
「さ・・・さすが優さん! なんて頼りになるの!」
「あっはっは、まっかせなさ〜い!」
「よーしっ、これで二人の命運も今宵限り、
 明日の朝には婚姻届に判を押さざるを得ないことにしてあげるから、覚悟なさい!
 ではわたくしデルタ2はこれから陽菜さんにコンタクトを取ります、デルタ1はブツの準備を、
 デルタ3、4は兄への連絡を速やかに行うこと!
 では成功を祈る、作戦開始!」

 

同日 午後6時頃


GHK各員は順調に仕事をこなし、今は誕生会の準備に奔走している。
果歩は得意の口八丁で陽菜を説得し、“本業が入らなければ”という条件つきで参加を取り付けることに成功。
口八丁とは言ったものの、誕生会のことを話すと素直に感激し、喜んで参加したいと言ってきたので、
全く苦労はなかった。

(はやり陽菜さんは愛に飢えている・・・お兄ちゃん、これだけお膳立てして何もなかったら・・・
 そのときはどうしてくれようか・・・)

本気で嬉しそうな陽菜は、もちろん果歩のそんな気配には気付かない。
一方、我聞の方は一も二もなく大賛成。
裏にある意図など知る由もなく、発案した妹弟たちを誉めることしきりで、
今は会場たる工具楽家居間の装飾にせいをだしている。
ただし、買出し含め料理の方には何故か絶対に手を触れさせてもらえなかったが、大して気にもしなかったようだ。
そんな我聞の目から隠れて、“いかに仕込んだワインを未開封にみせるか”とか、
GHKが悪巧みにせいを出していたのは言うまでもない。
そんなこんなで・・・

 

同日 午後7時


カラフルな紙テープと、“陽菜さんお誕生日おめでとう!”とかかれた垂れ幕で飾り付けられた工具楽家居間に、
今回のゲストであり主役、そしてある意味生贄たる國生陽菜は招き入れられて、 文字通りお誕生席に座っていた。
全員が席についたところで、果歩と優、珠、斗馬達が皆のグラスに飲み物をそそいでいく。
我聞を除く工具楽姉弟には普通のジュースが(斗馬がワインを欲しがるそぶりを見せるが果歩の眼力で却下)、
優と我聞、陽菜には優が威勢よく開けたワインが振舞われる。

「あれ・・・優さん、これってお酒・・・」
「なーに細かいこと気にしてるの! 折角のめでたい席だし、男はこんな細かいこと気にしない!
 はるるんも今日くらいいいよね〜?」
「は・・・はぁ・・・」

そんなノリで容赦なく仕込みワインを二人のグラスに注いでしまう。
我聞と陽菜は互いに困ったように目を合わせるが、
そんな様子を察知した果歩が流れを断ち切らぬように立ち上がり、

「それでは、これより國生陽菜さんの17歳のお誕生会を始めたいとおもいます!」

と宣言。
しゃもじをマイク代わりに、巧みに場を仕切ってしまう。

「ではみなさんグラスを持ってください!
 まずは陽菜さんのお誕生日を祝って、乾杯〜!」
「おめでとう國生さん!」「はるるんおめでとう〜」「はるなねえちゃんおめでとう!」「おめでとう〜!」
「あ・・・・・・ありがとうございますっ!」

陽菜にとって、こんな人数に祝ってもらう誕生日は初めてだったので、もう感激することしきり。
その後も、みんなでハッピーバースディを歌い、ケーキに立てられた17本の蝋燭を陽菜が吹き消すという、
お決まりではあるが幸せな会が進行していく。
途中、果歩除く3兄妹がケーキの奪い合いを展開しそうになって鉄拳が飛んだり、
優に炊きつけられた我聞が残りのワインを瓶ごと呑み干して挙動が怪しくなったりもしていたが、
おおむね平和に時間が過ぎていった。
陽菜も優にさんざん勧められ、いつのまにかグラスは空になっている。
それを見て優と果歩が互いに怪しく輝く目で目配せし合ったのは、当人達と斗馬以外には誰も気付いていない。

我聞が既に沈黙してしまっているのに果歩は心の中で舌打ちするが、
優曰く “一杯でも呑んだら効果覿面!”の仕込みワインなので、陽菜が潰れるのも時間の問題、
そしたら二人を兄の部屋へ運び込めばミッションコンプリート!

・・・の、はずであったのだが・・・。

料理もほとんど片付き、宴もたけなわな頃になっても、肝心の陽菜は全く眠そうな気配がない。
ちょっとだけジト目で睨んでくる果歩に気付かない振りをしつつ、陽菜にチェックを入れる。

「あ、あらー、はるるんもしかしてお酒強いのかな〜? 全然顔にもでないんだね〜?」
「ええ・・・あの実は、私呑んでなくって・・・」
「「へ!?」」
「やっぱりまだ未成年ですから、お酒は良くないですし、すみませんがこっそりと隣のお皿に・・・」
「・・・じゃあ、口をつけてたのは・・・」
「ごめんなさい、呑む振り、だったんです・・・」
「「・・・・・・」」
「あ、でも! すごく、本当にすごく楽しかったです!
こんな風に沢山の人から誕生日を祝ってもらうなんて本当に生まれて初めてだったから・・・」
「あ、あははははっ、よ、喜んでいただけたなら何よりですっ!」

果歩、今回も詰めが甘かった。
少しずつグラスが空いていくのは見ていたのだが、てっきり呑んでるとばかり思っていたら・・・。

「それに、皆さんも楽しそうだったのが本当に嬉しいんです・・・
 社長も、ちょっと羽目を外しすぎな気もしますが・・・それだけ喜んでくれてるってことですよね・・・
 仙術使いは新陳代謝を促進して体内の毒を分解するのも早いとのことですし、
 明日にはきっと元気になっていてくれると思います・・・」

陽菜はちょっと苦笑したようにだが、完全に酔いつぶれモードの我聞に温かい微笑を向ける。

(こ・・・これは! シナリオとはちがうけど、何気にいい雰囲気では!)
(やはり我々の努力は無駄ではなかったのよ!)

ちょっとそれっぽい雰囲気になったのと、なにより陽菜が本当に嬉しそうだったので、
まあ今回はこれでいいか、と思うことにするGHKの面々。

 

だが、そのとき事件は起こった。

 

突然、がばっ! と我聞が起き上がる。
うつむいてるので表情は読めないが、息が荒い。

「お、おはよ〜我聞君」「もー、お兄ちゃん情けないんだから、お誕生会はもう終わりよ〜」
「社長、大丈夫ですか?」

隣にいた陽菜が我聞の顔を覗き込むように近寄る。

「社長、今晩はありがとうございました、本当に嬉しかったです!
 でも、ちょっと羽目を外しすぎですよ・・・もっと社長たる自覚、もってくださいね!」

お説教というよりは冗談のような口調で話す陽菜だが、我聞の反応がない。

「・・・社長?」
「仕方ないなぁ、まだ酔っ払ってるみたい・・・陽菜さんごめんなさいね、こんなふつつかな兄ですが、
 今後とも宜しくおねがいしますね」
「? は、はぁ、わかりました!」

ちょっと気にならないでもない言い回しだが、まあ気にしないことにする。

「それでは社長、本当にありがとうございました、お先に失礼させていただきますので、
 ゆっくりとお休みになってくださ・・・? 社長?」

もう一度我聞の顔を覗き込んで別れの挨拶をしようとしたが、息の荒さがあまりに尋常でない。
その上、覗き込んだ目が異様に輝いている気がする。

(この目・・・どこかで見たことある・・・)

覗き込んだ体勢で固まる陽菜を見て、“もしかしてお別れのキスか!?”などと勝手に盛り上がるGHKを尻目に、
陽菜は記憶を辿る。
1つだけわかるのは、良いか悪いかで言えば悪い兆候であること。

(・・・! そうだ・・・これは・・・暴走!)

「社長! しっかりしてください!」

不意に緊迫した声を上げる陽菜に、一同驚きの視線を向ける。

「しゃちょ・・・」
「・・・國生・・・さん・・・」
「社長、気がつきましたか! 気を、気をしっかり持ってください!」
「・・・・・・げろ・・・」
「・・・え!?」
「・・・逃げろ・・・はやく・・・!!」

我聞が鬼気迫る表情で、必死に声を絞り出すように言う。

(!!・・・そんなに、そんなに危険な状態なの!?)

いつぞやのように“気”が流入している気配はないが、明らかに雰囲気が危険だった。

(私が・・・私がなんとかしないと・・・秘書として!)

「社長!」

ぱぁんっ!
と、両手で我聞の頬を挟むように叩く。
夢中で覚えていなかったが、以前に第三研で我聞が暴走したときは平手でそれを止めたと聞いていたので、
とにかく思いついたことを試したのだ。

「・・・國生さん・・・」
「社長! 気がつきましたか!?」

陽菜の両平手で、我聞の目の輝きは消えた。
かわりに、見たことのないとろんとした、不思議な目つきになってしまったが、
きっと酔いのせいだろうと安堵していると、我聞が両手を陽菜に向けて伸ばしてくる。
一気に緊張して弛緩したせいか注意力がおちていたのか。
手でも握って感謝されるのかな、と楽観的に構えていると、またも我聞がぼそり、と口をひらく。

「・・・國生さん・・・」
「・・・? 大丈夫ですか、社ちょ・・・」
「・・・きみの・・・せいだ・・・」
「・・・? え・・・」

一気に伸びた腕が陽菜の首の後ろを掴み、ぐいと身体を引き寄せ、
我聞は陽菜にキスをした。

「・・・!!! んむっ、んむ――――!!!」

ただのキスではない、口を開き、舌を入れ、舌に絡めてくるような、貪るようなディープキス。

「きゃー、やった!!!」「お、おにいちゃん!?」「ちゅーだちゅーだ!」

GHKが騒いでいるが陽菜はそれどころではない。
なんとか全力で我聞を引き離し、涙目になりながら睨みつけ

「しゃ・・・社長!! な、な、なんてことをするんです・・・や、やめてくださ・・・い、いや・・・」

懸命にすごんで見せるが、その間にも再び我聞の手は陽菜に伸び、防ぐ間もなく陽菜の襟首を掴む。
そして、陽菜が悲鳴をあげる間もなく
びりびりびりぃっ!!!

「いやあああああああ!」
「お、お、お兄ちゃん!?」「ちょ、ちょっとストーップ! 小学生が見てる!」「はだかだ〜!」

突然の暴挙に腰が立たず、座ったまま部屋の隅へ必死であとずさる陽菜、
やはり突然の出来事にあわてふためくGHK。
対照的に我聞はゆらりと立ち上がり、じっくりと陽菜との間を詰めていく。

「・・・國生さん・・・君が悪いんだ・・・」
「しゃ、社長、なんなんですか! わ、わ、悪ふざけにも程がありますっ!」

懸命に強く言い放つが、いきなりのことに身体は震え、目は涙で一杯である。
胸元を割かれてしまったので、両手で胸を隠すのに精一杯で、実力で遠ざけることもできない。

「・・・君が・・・悪いんだ・・・社長に・・・手を上げる悪い秘書には・・・お仕置きが・・・必要・・・」
「な、そんな! そ、それは社長が暴そ・・・!?」

必死で言い返そうとして、言葉が詰まる。
座り込んだ自分の目線と、立ち上がって近づく我聞の“それ”が、丁度同じ高さにあり、目に入ってしまった。
・・・我聞の股間に、服の上からでも十分すぎるくらいわかるほどにそそり立つ“それ”が。
しかも 。
あろうことか。
いつもは腕に絡まるように現れる“渦巻く気”のエフェクトがかかってるし。

「ひ・・・! 社長、やだ、正気にもどって! 優さん、果歩さん、たすけ・・・!」

このまま展開したら自分がどんな目に遭うかあまりにも想像がつきすぎる。
しかも最悪のなかでも最悪のケース。
どうあっても逃げなければならないのだが、そのあまりの凶悪なサイズとエフェクトに、
完全に腰が抜けてしまって立つ事もできない。

「ゆ・・・優さんこれって・・・」
「あ・・・あははははっ ちょーっと、お薬効きすぎちゃった・・・かな・・・」

果歩ジト目、優は汗だらだら。

「お・・・おくすり!? ゆうさんっ、一体社長になにしたんですか!」
「え! あ、えーと! ほら、その、ちょっと盛り上がるようにって、ああいやいやその!」
「と、と、とにかく! 優さんお兄ちゃんをとめて!」
「なんで私がー!」
「優さんが仕込んだクスリのせいなんだから、責任とってー!」
「そう仕向けたのは果歩ちゃんなのにー!」
「・・・・・・」

一体なにが起きているのかよくわからないけど、とりあえずこの二人が主犯格であることはわかった。
目の前の危機が去ったわけではないが、とりあえずそのことだけは忘れまいと思う陽菜であった。

「えーい、ままよっ!」

陽菜にものすごい目つきで睨まれながら、とにかく何とかしなくてはと勇気を振り絞り、
懐から取り出したスタンガンを我聞に向けて突き出し、優は突進を敢行する。
が・・・

「・・・優さん・・・邪魔・・・しないで・・・今は、これに・・・集中したいから・・・」
「ひー!!」

我聞にギヌロと睨まれると、呆気なく撤退。
未来の兄嫁を守るためと果歩も後から奥義・瞬天降魔脚を見舞おうと構えていたが、

(今のお兄ちゃんはやばい・・・邪魔したら妹でも犯す・・・!)

と一瞬にして悟り、瞬速で戻ってきた優と抱き合ってがくがく震えている。
珠はプロレスが始まるに違いないと(ある意味違いない)ワクワクして、斗馬はとりあえず静観。
こいつら揃って頼りにならない・・・!
陽菜は頭の中で暴言に近い思いを抱きながらなんとかできないかと目の前の暴走体に向き直ると

「き! きゃあああああぁっ!」

既に目の前に我聞のそれは待ち構えていた。
さすがに正視できずに上を向くと、

「うへへへー かくごはいいか〜」

ちょっとがくっときた。
酒で赤らんだ顔は明らかににやけていて、涎までたらしている。
両手を肩の高さに上げて、指をわきわきさせている。
まさに、絵にかいたようなスケベ親父っぷり。
なんのことはない、酔っ払いなのだ。
それがおそらく優さんの仕込んだお薬とやらで性欲でも増進されたのであろう。
そして、その効果を理性で必死に抑えていた我聞にあろうことかダブル平手をかまして、
最後の良心を吹っ飛ばしてしまったのはあろうことか自分なのだ。

(わ・・・わ・・・わたしの馬鹿馬鹿馬鹿―――――!!)

そんな風に現実逃避している陽菜に、ついに我聞の毒牙が伸びる。

「工具楽仙術・・・」
「!? へ・・・?」
「だーん・双掌砲〜!」
「き!きゃああああぁあぁぁぁぁぁっ!?」

構えた両手を同時に陽菜に向けて突き出す。
本来ならこれは相手の腹に叩きつけて吹き飛ばす技だったが・・・
突き出した両手は狙ったとおりに陽菜の小ぶりな胸を鷲掴みにして、ぐにぐにと揉みしだく。

「うーん、ちょっとかたいけどやわらか〜」
「きゃ、いやっ、 社長やめてえええ!」
「ちょっとちいさいけど、こくしょうさんらしくてかわいー」
「ん・・・んな、な、なに言ってるんですかっ! 変なこと言ってないで放してくださいっ!
 セクハラ社長って呼びますよ!!」

かちーん
なんか我聞の頭から音がした気がした。

「ほ〜お、そんなこと言うか國生さん・・・これは、おしおきがひつようですなー!」

そういうと、我聞は胸を揉む手はそのままに顔を近づけ

「ひぃぃっ、しゃ、社長それはだめ―――!」
「んちゅー、ちゅぱっ んー、ちょっとみるくあじー」

吸う。

「ひっ、やっ だめですっ! だ、だいたいっ、珠さんと斗馬さんがみてますよっ!
 小学生に見せていいものじゃないですっ! だから社長やめてぇぇ!」
「む」

もはや主犯格の二人は論外らしく、せめてもの期待を込めて幼い二人をダシにしてなんとか逃走を試みる。
確かに、珠も斗馬も二人の様子を食い入るように見つめている。

「か、家長としてっ、こんな、教育に悪いことっ、やっちゃ、だめっ、ひっ、だめじゃないですかっ!」
「珠、斗馬。」
「兄ちゃんなにやってるのー!?」「なんでしょう兄上!」
「・・・これはプロレスごっこだ」
「ち、ちがう、違います〜! こ、これはっ」
「わぁ、兄ちゃんいいなー、珠もやるー!」
「駄目だ、これは大人のプロレスだからな、珠はもっと大きくならないとやっちゃいけないんだ!」
「ちぇーっ」
「だまされないで〜! っ! ひ、また、や、やめてくださいぃ!」

珠と斗馬を抱きこんで?陽菜の補給線を断った我聞は、存分に陽菜のむねを吸いつづける。
妹や弟、部下が見守る中、堂々とこんなことを続けた我聞は、やっと満足したように陽菜の胸を開放する。
あまりに執拗にされたので、嫌がりながらも陽菜の顔は多少紅潮してしまっていて、
それが自分でもわかるのが恥ずかしくてたまらない。

「ふーっ、おいしかったよ、國生さん♪」
「ひ・・・社長・・・酷いです・・・」
「じゃ、つぎは本番といきましょ〜かっ!」
「い、いやあああああ!?」

ノリノリの我聞、自らのそそり立つナニを強調するかのように、腰を天井に向けてクイっと動かしてみせる。
本格的に貞操の危機を迎えた陽菜は這いつくばりながら、なんとか逃げようとするが・・・

我聞に背を向けて逃げようとすると、自然とそのお尻が我聞に向いてしまうことになる。
必死な陽菜は外見など気にしてる余裕はないが、
我聞にとっては目の前で揺れる果実に他ならず、おもわずじゅるりと涎をすする。

「へぇぇ、國生さん、イヤイヤいいながら、ちゃーんとその気になってるじゃーん」
「へ・・・い!? イヤ! ち、ちがうっ、違います!」

腰をおとして間近で自分の臀部を眺めている我聞に気付き、急いで逃げようとするが
既に我聞の手は陽菜の腰に伸びていて、ベルトをぶちんと千切ると一気にズボンをパンツもろとも下ろしてしまう。

「ひっ! や、やだっ! いやあああああああぁぁぁぁぁ!」
「んーむ、國生さんはお尻もかわいいね〜、ハリがあってすべすべー」
「や!だめっ! 触らないで! いや、社ちょっ! やーっ! 舐めないで〜!」

ズボンを下ろされて更に自由が利かなくなった陽菜の尻を、我聞は撫でたり舐めたりやりたい放題。
さすがに陽菜も半ベソ状態になってきている。
なんとか我聞の方を向き直り必死で拒絶しつづける陽菜の表情が、すけべ親父・我聞の征服欲に火をつける。

「じゃあ、せっかくお尻もさしだしてくれたことだし、まずはこちらからいただきますか〜」
「いやああああぁっ、社長、ごめんなさいっ、謝ります、あやまりますからっ、許してえええっ!」
「ふふふ・・・國生さんのそんな声きいちゃうと、余計にイジメたくなっちゃうなー♪」
「そんな・・・そんなぁ・・・」

そんなことを言いながら、我聞は自分のズボンを下げ、先ほどより更に気が充実してそうなナニを取り出す。

「あ・・・あ・・・」

その、渦巻く気も相まってあまりにグロテスクなモノに陽菜は絶句する。
あれだけビビっていた優もなんとなくもの欲しそうに見ているし、
両手で顔を覆うようにしている果歩も、しっかり指の間から覗いている。

「うぉ、兄ちゃんすげー!」

珠はなにやらよくわからないけどとりあえず凄いので盛り上がっている。
そんな珠の声援にニヤリとした笑みを返しつつ、我聞は己の凶器を動かし、目の前のすぼまりに狙いを定める。

(((え・・・?)))

“わかっている”三者が、同様に疑問符を浮かべる。
どう見ても位置が合わない・・・
そんな外野と生贄の疑問をよそに、ちょんっ、と先端をその“すぼまり”に軽く当てて感触を確かめる

「ひっ! しゃ、しゃちょっ・・・そ・・・そこは・・・っ!」
「む・・・キツいな・・・さすが國生さん、一筋縄ではいかないな!」
「ち、ちがっ、そこ違うっ!」「お兄ちゃんそこちがう!」「我聞君そこじゃないっ!」
「ふふふ、往生際がわるいぞ〜? お仕置きは素直にうけるものだっ!」

もちろん聞く耳持たない我聞は、ぐりっ! と、無理やりに腰を押し進めようとする。

「い、いたいですっ! 痛い痛い痛い痛い――――!」

既に諦めつつあった陽菜だが、流石にこれは洒落にならず、本気で痛みを訴える。
我聞もあまりに悲痛な反応にすこし気が逸れたか、力を加えるのをやめて腰を引く。

「そこっ、そこ、違う・・・違いますっ・・・お、お尻っ・・お尻・・・です・・・・っ」
「なんと・・・見事に騙されたわけかっ!」
「それも違いますっ!」

「ふっ、流石だよ國生さん、それでこそ我が秘書!」
「あ・・・あの・・・社・・・長・・・?」
「だがしかしっ! 工具楽仙術、なめるでない!」
「へ・・・ ひっ!?」

再び、陽菜の尻のすぼまりに我聞の凶器がつきつけられる。

「な・・・なにを・・・だから、そ、そこは・・・違うって・・・」
「わかっている! ここがお尻ってことは十分わかった!
 だが、國生さん、それならそれで攻略法があるのだよ!!」
「え・・・え!?」
「工具楽仙術!」
「ちょ、ちょっと社長!?」
「砕・追功穿!!!!」
「ひ・・・や!?・・・だめ!いやあぁっぁぁぁぁぁっぁっ!」

砕・追功穿 ――― ヒビの入る物体なら気の続く限り壊す技・・・本来は。

「ふふふ・・・尻ってことは既に穴があいている! つまり、既にヒビの入った高架橋も同じ!
 追功穿で先に俺の気を流し込んでやれば・・・!」
「ああああああっ! なに! なに? なんなのっ!? あ! ひっ! お、おしりっ!
 お尻なのに、なんでえぇっぇぇっ・・・ひあああ・・・・っ」

我聞はエロ親父状態で練ったいかがわしさ満点の気を、
ナニから陽菜の尻の穴に放ち、陽菜の身体の中からえぐるように巡らせたのだ!(馬鹿)
その気は陽菜の括約筋を一瞬で揉み解し、さらに本来ありえないはずの快感すら与えてしまう。
あとは、すっかり緩んだソコに、我聞の本体をもぐりこませるだけ。

「いっいやあぁぁっ! 社長やめてっ、き、汚いですっ、そんなとこ、いやっ! 抜いて!抜いてくださいっ!」
「へぇぇ、そうは言うけど、國生さん気持ちよさそうに見えるんだけどな〜?」
「いやっ、違うっ! 違いますっ! そ、そんなことっ! ぜ、絶対にひぃゃああぁぁっぁぁ!?」

陽菜のそこがすっかりほぐれているのを自分の凶器で確認した我聞は、激しく腰を動かし始める。
我聞の肉の楔が突き込まれ引き抜かれる度に、じゅぽじゅぽっと卑猥な音が工具楽家の居間に響き渡る。

「あっ! ひっ! い、いやっ! だめ、あ!あ! あはぁぁっ!」

GHKの面々も、このあまりにあり得ない展開にもはや言葉もなく、ただ見守るだけだった。

「ふふ・・・國生さん、感じまくってるな・・・」
「!? い、いやっ! ち、ちがいますっ! あ! そ、そんなっ! んぅぅっ! そんなこと、な、あああぁ!」
「そうかな〜? ココに居る全員、俺と同じ意見だと思うけどな〜?」
「・・・!? い、イヤ、いやあああああ! みないでっ! だめ、優さんっ! 果歩さん!
 珠さん斗馬さんみんなだめえええ! みないで! みないでええぇぇえ!」

余りにも想定外の事態に、完全に今の状況を忘れてしまっていた。
現実を思い出し、激しく取り乱すが・・・

「お? 締め付けがきつくなったな・・・國生さん・・・見られて感じちゃった?」
「・・・なっ! そ、そんな・・・ことっ! っふあぁぁあっ! な、ないっ! ないでっぅああああああっ!」

言葉責めに追い討ちをかけるように、ピストンの速度を上げ、それに応じ陽菜の声と身体が弾んでいく。

「あ! あああっ! お尻っ! おしりなのにっ! そんな! いや! いやいやいやあああぁぁ!」

陽菜の限界を察知して、我聞がとどめとばかりにその凶器に気を込めて、一気に突き込んだ。

「そ〜れ、とっか〜ん♪」
「ひ!! い、い、いやあああああぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁあぁぁあっっ!!!」

我聞が陽菜の尻を開放すると、支えのなくなった陽菜は畳の上にごろりと倒れこむ。

「あ・・・は・・・あぁぁ・・・」

放心したように畳の上に仰向けに横たわる陽菜の顔は紅潮し、涙と涎で穢れている。
その顔を覗き込むと、無理やりに唇を奪い、またも陽菜の口内を己の舌で犯していく。

「ん・・・んむっ!? んぶうううっ!」

驚きで正気に戻った陽菜を見やってにやりと笑うと、

「ふふふ・・・お仕置きのはずだったのに、イっちゃうほど気持ちよくなっちゃうなんて、
 國生さんって本当はエッチだったんだね」
「な・・・そ、そんな・・・」
「俺がセクハラ社長なら、國生さんはさしずめインラン秘書ってとこかな!」
「そんな、そんなの嘘・・・うそです・・・こんなの・・・」

自分を失して乱れ悶え、果ては絶頂まで迎えてしまったことが情けなくて恥ずかしくて、
涙がこぼれてくる。

「あれれ、そんな泣くことないのにな・・・まあ仕方ない、それじゃあこれでお仕置きは終了ってことにしようか」
「ほ・・・本当・・・ですか・・・」

このままなら確実に奪われてしまうと思っていた、一番大事なところ
そこを無事守り通せると思うと、酷い目に遭ったにも関わらず、少しだけほっとする。
・・・少しだけ残念にも思ってしまったが、そのキモチは一瞬で封じ込める。

「そのかわり・・・」
「・・・? ! きゃ!」

気を緩めていた陽菜の身体を押し倒すように両肩を押さえつける。

「誕生日のプレゼントをあげるよ・・・」
「え・・・え!? あ、ま、まさか・・・しゃ、しゃちょう・・・?」
「さすが國生さん、もうわかっちゃったかな?」

先ほどから全く萎えていない腰の凶器を、陽菜の“大事なところ”にあてがう。

「うそ・・・や・・・もう、もう終わりだって・・・」
「そう、だからこれはお仕置きじゃなくて、プレゼントだよ・・・
 國生さんの中に、俺の気持ちをたっぷりとぶちまけてあげるよ・・・たーっぷりと!」
「・・・! ま!まって! いや、そんなの! だめ、そんなことしたら私、わたしっ!」
「これだけトロトロに緩んでいれば、追功穿は必要ないよね・・・じゃあ、これだ」
「いや!いや! だめ、まって! お願い、おねがいですっ! 社長! いやあああああ!」
「工具楽仙術」 「貫・螺旋撃!!!」
「っゃああああああああああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁっ!」

螺旋を描く気と共に、我聞の肉槍が陽菜の秘所を、そして処女膜を容赦なく貫く。
激しく出入りする凶器に血が混じるが、全く意に介すことなく、陽菜を陵辱し続ける。

「いっ!痛い!痛い痛い痛い―――っ! ひっ! ひああああっ! しゃ・・・ちょおっ!
 いや、イヤイヤイヤぁ!」

陽菜のあまりに悲痛な叫びに、遠巻きに眺めるGHKの面々は思わず顔を背けるが、
我聞は全く気にする様子もない。

「大丈夫、すぐに良くなるさ・・・なんたって國生さんはインラン秘書だからな!」

言うと、陽菜の身体の下に手をいれて、指先を先ほどまで責めたてていた尻の穴につきこむ。

「!? ぃひぅっ!」

それまではただ痛がるだけだった陽菜の声がすこしだけ色を帯びて、身体がびくんと跳ねる。
そのタイミングを逃さずに、先ほど尻の穴から穿ったのと同質の気をもう一度己の凶器に纏わせる。
もちろん、陽菜の胎内で。

「え!? や! な、なに!? ひ・・・ああ、あぅっ!」
「ふふふ、ほーら、やっぱり気持ちよくなってきたんじゃない?」
「や! そんなことっ、ない、ないですっ! い、痛い、いたいのに、・・・なんで・・・いた・・・い、のに・・・」

今までの悲痛な表情と声が、これだけのことで和らぎはじめる。
これが先ほどの快感に喘ぐ声になるまでに、たいした時間は要さなかった。

「あ! ああっ! や、もう、なんでぇ・・・っ! まだっ・・・まだ痛い、いたいのに・・・ああぁ・・・あぅ・・・」
「それだけ、國生さんがえっちな身体だってことさ」
「そんなぁ・・・社長、いわないで・・・ひ! ひぁ! あ、あう、うあぁぁぁっぁぁぁ!」

陽菜が昂ぶり始めるとみるや、またも一気にピストンを強くする。
今度は先ほどの比ではなく、我聞の表情にも余裕がない。

「ん! うぁああ! ひああっ! や、だめ! しゃ、しゃちょ・・・っ! だめ! あ! あ! あ!」
「・・・くっ・・・國生さん・・・そろそろ・・・イきそうなんだね・・・?」
「あっ! あ、そんな・・・そんなこ・・・とっ! あぁ・・・ちが・・・ひっ!? んあああぁあぁあぁっ!」
「じゃあ、俺も一緒に行くから・・・プレゼント・・・受け取ってくれ!」

言うと更にピストンのペースを上げつつ、全ての気を股間に集中させ始める。
その鼓動は陽菜の体内に響き、陽菜もまた否応なしに絶頂へひた登る。

「ぷれ・・・い!いや!いやですっ! だめ、中はだめ、おねがいです、いやいやいやあああっ!」
「・・・肉棒は単なる発射口・・・精子を弾に見立て、一点に気を収束・・・」
「しゃ・・・なに、なに馬鹿なこと言ってるんですか! ほんとに! ほんとにだめ、だめなんです!
 おねが、いや、ひぅ、あ、あ、熱くなってるっ!? や! ああああぁ! いや! あぅああっ!」
「工具楽仙術・・・」
「や! お願い、おねがいですかっ・・・らぁああぁっ!? あ! っひぃぁあぁぁあぁぁぁっ!
 あ、らめ、い、ひやぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっぁあっぁっ!」
「突貫!!」「収束!! 撃・爆砕!!!!」
「―――――!! あ、い、や、あ! だめ、い、いっちゃ、だめだめだめ、い、イく! イくイくイくイっちゃ、いっちゃうううううぅぅっ!!!!」


・・・・・・


我聞は陽菜の中に全てをぶちまけて果てる。
陽菜は、我聞の爆発のごとき射精を体内に受けて・・・・・・強烈な絶頂を迎え、そのまま畳の上に崩れ落ち・・・・・・

陽菜の意識が途切れる直前に、我聞が頭から煙を噴き出して倒れる姿が見えたような気がした。

 


陽菜が意識を取り戻したのはそれから30分程後のこと。
身体はきれいに拭かれ、果歩のパジャマを着せられて工具楽家の居間で寝かされていた。
すこしだけ朦朧としてから、先ほどの事件を思い出し、
がば!
と身体を起こす。

つ、と、果歩と優と目が合った。
どうやら介抱していてくれたらしい・・・。
が。
辺りの気温が下がっていく。

「あ、はるるん、き、気が付いた・・・あはは、なんかその、ご愁傷様?」
「あ、あは、あはは・・・た、大変でしたね・・・あの・・・まあほら、野良犬に噛まれたとか・・・」

無言。
下を向いてぶるぶる震える二人に、ただただ冷たい、むしろ極寒の視線を送るのみ。

「果歩さん。 優さん」
「「ははははいいっ!!」」
「納得の行く説明・・・いただけますよ・・・・ね?」

極寒。
南極のペンギンすら凍えるほどの極寒。

と、そのとき。

「ふあぁぁぁ・・・んーむ、よく寝た・・・」

その声に、陽菜は反射的に布団を身体に巻きつけて膝立ちになり、がばっと向き直る。

「お、國生さん、グッモーニン・・・ってあれ、なんで俺縛られてるんだ・・・?」

一瞬だけ常温に戻った工具楽家の空気が、さっきより更に冷える。

「社長・・・もしかして・・・」
「ん? どうしたの國生さん、なんか、ちょ、ちょっとお顔が怖いけど・・・?」
「先ほどのこと、何も覚えておられないとか・・・?」
「先ほど? あーそうだスマン! 國生さんのお誕生会の途中で寝入ってしまったのか、面目ない!
 社長として情けない限りだ! もっと修ぎょおごっ!?」

ある意味被害者でもあるこの空気の読めない朴念仁は、
勘違いした自分なりの分析を全て言い終える前に國生さんのお盆による攻撃で沈黙する。
それから三分ほど、既に動かない我聞をゴスゴスと打ち据える鈍い音が工具楽家に響き渡るのであった。

 

「・・・さて」
「「は、はいいっ!!」」

多少息が乱れ返り血に染まり、それでもなお極寒の気を纏い続ける陽菜に見据えられ、
実際の主犯格二人は完全に死を覚悟していて、
もうGHKのこととかなにからなにまで、必要なことから不要なことから全てを二人が争うようにいい終えるのに、
たいした時間もかからなかった。
全てを聞き終えて、それで陽菜の怒りが静まるなどということは無論ありえない。
だが、二人に手を上げることはない代わりに、思いつく限りの罰を申し付ける。

「まず、優さんと社長は今後1ヶ月間タダ働きして頂きます」
「「えええええ!?」」
「・・・私は、よりによって自分の誕生日に、・・・お金では買い戻せないほど大切なものを奪われました」
「「うっ!」」
「そんな私が、実際の生活のことも考えて、たったの1ヶ月に限定したのですが・・・お気に召しませんか?」
「そそそ、そんなとんでもない!」「ま、まったくもってそのとおりでございますっ」

ただただ平伏。

「次に、今晩のことは絶対に、絶対に他言無用です、わかりますね?」
「そそそそれはもう!」「口が裂けても天地神明に誓って!」
「もちろん記憶をなくしたらしい社長にもです・・・もし、このことが外部に漏れるようなことがあったら・・・」
「「ぜっっっっっったいに漏らしませんっ!!」」

「それと優さん」
「は、はひっ!」
「今晩中に記憶を消すクスリを作って、珠さんと斗馬さんの今晩の記憶を消してください」
「ん、んな無茶な・・・」
「・・・」
「や、やりますがんばりますやらせていただきますううう!」
「もう1つ」
「ひぇ・・・は、はいぃ・・・」
「先ほどの・・・その、仕込んだクスリ・・・まだ残っていますか?」
「へ? あ、はいっ、まだ実はその・・・結構たくさん・・・」
「そうですか、没収します」
「え!?」
「あ、そ、そう、他にも社に報告のない発明品は全て没収しますっ!」
「は、ははあ〜っ」

「では、次に果歩さん」
「は!はいっ!」
「・・・」
「あ・・・あの・・・陽菜・・・さん?」

沈黙が怖い。

「社長を・・・時々時間外労働でお借りすることになると思います」
「は・・・時間外労働・・・ですか?」
「そうです。」
「えと・・・具体的にはな・・・は、ははーっ、わ、わわかりましたあああっ」

今まで以上の強烈な視線を浴びて、部屋の隅まで後退して土下座。
ちょっとだけ陽菜の顔が赤いような気もするけど、もちろん誰もそんなこと気付かない。

「・・・最後に・・・」
「「は、はいっ!!」」

まだあるの? とか内心思う二人だが、絶対に表には出せない。命が危険すぎる。

「もし・・・その・・・今回のことで・・・・・・でき・・・ちゃったら・・・」
「え?」「な、なんです?」
「その・・・そのときは・・・・・・せ・・・・・・きにんを取って・・・」
「え、何をとるって?」「あの、もうちょっと大きい声で・・・」
「い・・・もういいですっ、何でもありませんっ!」
「「ひぃぃすみませんんん!!」」

これにて説教終了。
そのあと再び目覚めた我聞が今度は妹と同僚の手で新たな地獄を見たり、
時間外労働と称して何故か國生宅へ夜な夜な呼び出されたりしたとかなんとか。

 

めでたし、めでたくもなし。

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