3.5 〜その頃のマリアさん〜.

 

コン、コン。

片手にヒナギクを抱きかかえたまま、ハヤテが扉を軽くノックする。

「ハヤテです、ヒナギクさんをお連れしました」
『はいどうぞ、開いてますわよ〜』

ドアノブに手をかけてからちらりとヒナギクを見ると、彼女は不満そうに、不安そうに、ハヤテを睨んでいた。
ハヤテが落ち着いたヒナギクを部屋から連れ出すときから既に、彼女は全くこの移動に乗り気ではなかった。
ハヤテの部屋に来る前の彼女なら、男性の部屋と女性の部屋なら迷うことなく女性の部屋を選んだだろうが、
ヒナギクは既にハヤテの手にかかり・・・その身を委ねてしまった。
乱れ、悶え続けた疲労もあったし、そのまま彼の部屋で朝までゆっくり眠りたいというのが本音であった。
それに、マリア―――
本来ヒナギクがこの屋敷の住人の中で最も信頼していた、尊敬に値する先輩であったハズの彼女は、
今となっては今晩の異常事態の中心人物であるということが推測出来てしまい、
その彼女の部屋に連れていかれるという事で、自分が今度はどんな目に遭うか・・・
それを思うとついついハヤテにすがるような目を向けてしまうのだが、

「すみませんヒナギクさん・・・こればかりは、僕にもどうにもなりませんで・・・」

そんなヒナギクの視線を受けて、彼女の気持ちを理解した上で、
申し訳無さそうに答えるハヤテの立場も分からないではない。
このお屋敷における事実上の最高権力者に逆らっては、
彼が事ある毎に口にする“三千院家の執事として”の生活そのものを失いかねないし、
編入試験の結果が覆ったのも一重に彼女の口添えがあったが故である以上、
ハヤテがマリアに逆らうことなど期待する方が無理というものだった。

結局、ヒナギクはハヤテとの行為で疲労した身体を抱き上げられて、
マリアの元に連れていかれるしかなかった――――――


「いらっしゃいませ、ヒナギクさん♪」

二人を迎えたパジャマ姿のマリアが笑顔を向ける。

「お待たせしましたマリアさん、ヒナギクさんをお連れいたしました」
「はい、ご苦労様です、ハヤテくん。
 ヒナギクさんはお疲れの様ですし、こちらに寝かせてあげて下さい」

ハヤテはマリアが指し示した通り、ヒナギクの身体をマリアのベッドの上、彼女の隣に横たえる。
ヒナギクが恨みがましい目つきでハヤテを見上げるが、
彼としては申し訳無さそうに苦笑を浮かべるしかなかった。

「ではハヤテくん、お願い事ばかりで申し訳ないんですけれど、
 ナギのお部屋へ行ってあの子の様子を見てきて下さいませんか?」

ぴく、とハヤテと、そしてヒナギクがその言葉に反応する。
にこやかにハヤテを主の部屋へ向かわせる彼女の意図は、二人とも十分に理解している。
理解しているからこそ、

「あ、え〜と、ですがマリアさん、その・・・」

ヒナギクの方を見ずとも、彼女の刺さるような視線が感じられる。
ついでに彼女からの無言の声が―――

“ふ〜ん、へ〜ぇ、ハヤテくんってずいぶんと守備範囲が広いのねぇ・・・
 こ・の・ロ・リ・コ・ン(はぁと)”

なんて聞こえてくるような気がしてならない。
単なる軽蔑なのか、自分を抱いた男の節操の無さが腹立たしいのか詳細は不明だが、
彼にとってそれはもう全くの誤解に他ならず、慌てて・・・

「ま、マリアさん! そ、その、お嬢様の様子を見に行くことは全く構わないのですが!
 ただその、お嬢様は年齢的になんと言いますか、まだちょっとアレですから!
 なので、マリアさんのご期待に沿えるかどうか・・・!」

オロオロするハヤテと、そんな彼をジト目で睨むヒナギクの対比を面白そうに眺めながら、

「はい、ハヤテくんの守備範囲については重々承知していますが・・・
 今回は私なりに少々趣向を凝らしてみたものですから、よかったらご覧になって下さいな♪」

こんな会話を聞いていると、先程の仕打はともかくとして、
本来この二人の主であるハズの小さな少女の境遇になんとなく同情してしまうヒナギクだったが、

「まぁでも、お気に召されなければそのまま戻ってきて下さって構いませんわ。
 こちらでヒナギクさんを二人がかりで、というのもそれはそれでなかなか・・・」

等と言いながらちらり、とマリアに流し目で見据えられたヒナギクは・・・

「は、ハヤテくん!」
「は、はい? 何でしょう」
「やっぱり執事たるものお嬢様が最優先よね!? 年齢の壁なんて乗り越えてこそ真の執事よね!」
「は、はぁ・・・」
「ならばハヤテくん! ここは迷っている時ではないわよ!? さぁ、私に構わず今すぐ速攻でナギの元へ!」
「はぁ・・・  で、ではマリアさん、ヒナギクさん、行って参ります・・・」

なんとも釈然としないといった風で、ハヤテはマリアの部屋を後にする。
彼が出て行くと、ふうっ、とヒナギクは思わず安堵の溜め息を漏らし・・・

「でもちょっと意外ですわね〜」

その声で、まだまだ安堵するには早すぎたことを咄嗟に思い出す。

「ええと、何がでしょうか、マリアさん?」
「はい、私はてっきりヒナギクさんもハヤテくんと一緒の方がいいのかしらと思っていたのですが・・・」
「や! そ、それは・・・」

ハヤテに抱かれ蕩けさせられた身体は、確かにもう一度抱かれることに、今更抵抗は・・・ないとは思う。
だが、マリアが言うのは“二人がかり”で、なのだ。
既に自分の身体を知り尽されてしまっているハヤテに、いきなり自分を悶えさせたマリアの二人がかりは、
ハヤテとの行為で疲弊しきった身には幾ら何でもハード過ぎる。

「まぁ、いいですわ」

つ―――と、マリアの指がヒナギクの頬に触れ、
ぴくん、とその感触に反応したヒナギクの顔の傍に、マリアが顔を寄せる。

「それよりヒナギクさん」

吐息を頬に感じるくらいに、マリアの顔が近い。
彼女の顔はこれまで見たこともない程に妖艶で、同性のヒナギクから見てもどきりとする程に、美しかった。

「ハヤテくんとは、どんな具合だったのですか?」
「具あ・・・って! べ、べ、別に、な、何も・・・!」

頬を真っ赤に染めて主張するヒナギクの様子を、
何もかもお見通しというように妖しい笑みを浮かべながら眺めつつ―――

「あらあら、白皇の生徒会長ともあろう人が、嘘はいけませんねぇ?」
「ち、違いますっ! う、うそじゃぁあぁあっ!?」

不意に、ヒナギクの身体を甘美な稲妻が駆け巡る。
パジャマ越しに秘所に押し付けられたマリアの指が、落ち着いていたヒナギクの官能を揺り起こす。

「それでは、ヒナギクさんの身体に直接お伺いしてみましょうかね〜♪」
「ひっ! や、やめ、マリアさんやめてっ! そこ、はぁあっ! そんな、ぐりぐりっ、押し付けちゃあっ!」

ハヤテによって開発されてしまったそこは、服の上からの鈍い愛撫にも過敏な程に反応し、
ヒナギクの身体をガクガクと震えさせ、喘ぎ、悶えさせる。

「うふふ、こんなに敏感になっちゃって・・・ご存知ですかヒナギクさん?
 ヒナギクさんみたいにキレイな人が乱れる姿って凄く魅力的で、もっと乱れさせたくなっちゃうんですよ〜?」
「そ、そんな、あぅっ! し、知りませんっ! ひ、ぅああっ! や・・・だめ!
 ひぅっ! 直に、さわっちゃ・・・あ、やぁあ!」

二枚の布地越しの愛撫では物足りないとばかりに、
マリアの手はするりとヒナギクのショーツの下に潜り込み、早くも濡れ始めた彼女の秘所に直に触れる。
悶えるヒナギクの秘裂にマリアの細い指が浅く沈みこみ、
ちゅく、ちゅぷ、くちゅっ、と、滴る蜜を掻き出すように蠢き踊る。

「ぅあ! あひ・・・や、やめ、マリアさんっ、ゆび、やぁ! い、ひう・・・やめ・・・っあぁあっ!」

それだけでヒナギクは達してしまいそうな程にびくびくと震え、
泣き声のような嬌声を上げさせられてしまう。
だが、まるでそんなのは序の口とばかりに、マリアの指は・・・

「ひ! や、やめ、だめっ、ダメですっ! あく・・・ゆび、なか・・・っ! ひ、は、はいって・・・っ!
 うあ! あ、ひぁ・・・やっ! だめ! そんな、うごかしちゃ、あ、ふぁあっ! んぁあああっ!」

期待通りにあられもなく悶える乱れるヒナギクに満足しながら、
マリアの指は一本、二本とヒナギクの膣内へと入り込む。

「うふふ・・・ヒナギクさんの中、熱くて、ぬるぬるで・・・私の指をくわえ込んで締め付けてきますわ・・・」
「ふ・・・ぅあぁ! やぁっ! やめてぇ・・・そんなことっ! い、ひぃっ! 言わないでぇ!」

ついさっきまで処女だったヒナギクの中は狭く、
マリアの指が僅かに動いただけでも膣壁をえぐるような刺激となってヒナギクを責め苛む。
敏感過ぎる粘膜を刺激されて溢れるほどの愛液を分泌し、
侵入した指をキツく締め付けながらも過剰な潤滑液のお陰であくまで滑らかに包み込む。

「・・・それにしても、ちょっとヌルヌルしすぎ、ですわねぇ?」

息も絶え絶えに乱れていたヒナギクの半ば閉じかけの目が一瞬、
ハッとしたように見開かれる。
それを目ざとく確かめてマリアはその理由を把握するが、その上で敢えて・・・

「んぅ! ・・・っ、あ・・・」

ちゅぷ、とヒナギクから抜いた二本の指をわざとらしくまじまじと見つめ・・・

「ま・・・りあ、さん・・・?」

ヒナギクの蜜でぬらぬらと濡れたそれを唇に運び、ぴちゃぴちゃと舐めしゃぶり始める。
彼女の常軌を逸した行動は、だがしかし同姓のヒナギクから見てもぞくっとするほど淫らな仕草で、
自分の恥ずかしい蜜を舐められているという事実も忘れ、マリアの顔に見とれてしまう。
だが・・・

「ちゅ・・・ん・・・むぷ・・・っ、んふ・・・ヒナギクさんのこれ・・・ハヤテくんの味がしますね〜」
「え・・・な! な、なな、何を言って・・・!」
「こんなに味がするってことは、ハヤテくんにたっくさん、注いで貰ったってコトですわね〜♪
 ねぇヒナギクさん、ハヤテくんには何回くらい出されちゃったのかしら〜?」
「そ、そんな! べ、別にたくさんなんてしてませんっ! ・・・その・・・い・・・一回、だけ・・・」

言い訳でもするかのように慌しく言い放ち、そして恥ずかしそうに語尾を濁すヒナギクを楽しそうな、

「では・・・さぞかしハヤテくんのが濃かった、ということかしら・・・んちゅ・・・羨ましいですわ・・・」
「そ、それは・・・そんな・・・」

そして、妖しく潤んだ目で見据えて・・・

「・・・ヒナギクさんにはハヤテくんのはじめてを譲って差し上げたのですから、
 おすそ分けして頂くくらい・・・いいですわよねぇ?」
「譲って・・・って! 別にそんなの欲しがったりなんて最初からしてませんっ!
 それに、あの・・・おすそ分けって・・・え、ちょ、ちょっとマリアさん!? ちょ、やめ・・・!」

するり、と呆気なくヒナギクのパジャマとショーツを脱がせ、夜気に晒された彼女の秘所へと顔を寄せる。
慌ててマリアの頭を押しのけようとヒナギクも手を伸ばすが、
その手が届く前に潤んだ秘裂を、ぺろり、と一舐めされて―――

「っひぅうっ!?」
「んふふ・・・ヒナギクさんったら、本当に敏感なんですね〜♪」
「っひあ! や・・・ま、マリアさん、そ、そこで、しゃべらないでっ、あふ・・・くださ、ひっ!」
「ヒナギクさんとハヤテくんのが混じって、ふふ・・・えっちな匂い・・・味・・・」
「だ、だからそんな―――」
「では、いただきます♪」
「や、め・・・っああぁあ! は、あ! ひっ、や、だめぇ! 舌いれちゃ、ひゃうっ!
 んぁあああ! すっちゃ、や、あひ・・・! だめぇええ!」

にゅぷ、とヒナギクの膣内へと入り込んだ柔らかな舌は、
本来受け入れたモノに絡み愛撫するはずの襞を、逆に一つ一つ舌先で丁寧に舐め回し、
襞の一つ一つをほぐしてゆくかのように膣壁を愛撫する。
それだけでもヒナギクを乱れ狂わせる程の快楽を彼女に注ぎ込んでいるというのに、
それを認識したうえでマリアはヒナギクの秘唇とディープキスでもするように唇を押し付けて―――

「―――っいぁあっ! だめ! そんな、吸っちゃ! ぅあ! あぅう! ひゃうぅっ!」

ぢゅるるるる・・・と、はしたない音を響かせて、分泌され続けるヒナギクの蜜もろとも、
膣の中からこぼれずに残っていたハヤテの精液を啜りとる。

「あ・・・は・・・っ! うぁ、あ・・・っあぁあっ、ひ、は・・・ぁ、んぁ―――っ!」

浅くまでしか届きはしないが、それでも自在に動き身体を内側から舐めまわすような愛撫や、
止まることなく溢れる蜜を秘肉ごと吸い出されるかのような異様な感触に、
ヒナギクは悶え、乱れ、翻弄されるばかり。
為す術も無いままぐずぐずに蕩けた膣を貪られ、過剰なまでの快楽を注ぎ込まれ、やがて彼女は―――

「んぁあ・・・や、め・・・ひ、あ、ぅああ! そんな、すっちゃ・・・なめちゃ、だめっ! わたし・・・っ!
 マリアさんっ、わた、し・・・! もう、ぁ、イ、いぁ、あ! ん、ぅあぁあああぁあっ!」

身体が、心が受容できる分を遥かに超える快楽がヒナギクを決壊させ、
その瞬間に彼女は身体を弓のように仰け反らせてびくんと震え、絶頂を迎えた。

「―――んぷ・・・ぁ、あらあら、うふふ・・・ヒナギクさんったら、もうイっちゃったんですわね・・・」

そのことについてはそれ以上何も言わず、
ヒナギクの足の間から顔を上げると陶然とした表情で大きく一息ついて、

「あぁ・・・ヒナギクさんの・・・ハヤテくんのと混じって、んふ・・・すごく、美味しい・・・」

啜り取ったヒナギクの蜜を、舌の上で転がしてでもいるかのように、じっくりと味わう。

「それにしても・・・一回出されただけなのに、こんなに味がして・・・
 よっぽど濃いのを注いで貰ったのですね・・・羨ましい・・・」

愛撫から解放され、呆然と絶頂の余韻に浸るヒナギクにそっと顔を寄せると、
囁くように彼女の羞恥を掻き立てる。

「や、ぁ・・・そんなこと・・・言わないで、ください・・・」
「どうしてですか? こんなに濃いのですから、きっとさぞかし粘ついて、どろどろで・・・
 それを凄い勢いで、びくんびくんって跳ねながら、どくんどくんって・・・ああ・・・」

マリアの余りに生々しい物言いと、そしてまさにその言葉通りだった先程の体験を思い出し、
恥ずかしさでヒナギクは泣きそうな顔をする。
対照的にマリアは自分が口にした状況をわが身に当てはめて夢想してでもいるのか、
ぞくぞくっと身体を震わせて、満足げに“ほぅ”とため息をついている。
・・・だが、やはり夢想は夢想。
その物足りなさに今度は“はぁ”とため息をつくと、妖しさを増した瞳でヒナギクを見つめ、

「んー・・・そう考えていると、羨ましいというより・・・すこし、妬ましいですわね〜?」

艶たっぷりの声で囁きかける。
その声にはぞくりとする程の淫らな響きが満ちていて―――

「そ、そんな・・・! 別に・・・わ、わたしが望んでした、された訳じゃ・・・ありません!」

妬みと共にそんな声を向けられては、今度はどんな目に遭わされるか・・・
考えただけでも空恐ろしく、必死で弁解する。

「だ、だいたい・・・ハヤテくんに、私の相手をするようにって言ったのも、マリアさんじゃ・・・!」
「あら、そうだったかしら? でも、これからはどうでしょうかね〜?」
「これから・・・って・・・な、なんのことです・・・?」
「うふふ・・・ヒナギクさん、ハヤテくんとえっちすることの楽しみを覚えちゃって、
 それって、今晩だけで終わらせられるものなんでしょうかね〜?」
「な・・・」

どくん、とヒナギクの胸が高鳴る。
彼としてしまった、あの約束のことが思い浮かび、慌てて頭を振ってそのことを追い出す。

「ね、ヒナギクさん・・・どうなんですか?
 またえっちなことしようって、約束したりしなかったんですか〜?」
「そ、そんなこと、してません!」
「ふぅん・・・そうなんですか? では、こちらにもお伺いしてみましょうか・・・」
「な、なんですか・・・って! あ、ふ・・・ぅ、やだ、や・・・あ!」

ちゅくっ、と、ヒナギクの秘所にマリアの細い指が触れる。
秘裂の表面を軽く撫でるようにくちゅくちゅと弄っておいて、
つぷ、つぷぷっ、と指を二本、膣壁を掻き分けて潜り込ませる。

「い・・・ひぁあっ、や、あぅ・・・んぁああっ! やめ、ゆび、やぁあっ! なんで、聞くって、こんな・・・!」
「ほら、よく言うじゃないですか、身体は素直って♪
 ですから、一番素直そうなところに直接お伺いしてみようかな、と思いまして」
「な、はぅ・・・っ、そん、な・・・あ、ひぁあっ! あ、んく・・・やめ、ふぁあ!」

二本の指で膣内を掻き回されるのはさっきと同じだが、
今度はより深く・・・指の届く限界まで潜り込んできて、それでいて焦らすようにもぞもぞと僅かに動くだけ。

「それじゃあヒナギクさん・・・今度ハヤテくんとは、どこですることにしたのかしら?
 またお屋敷にいらっしゃるのか・・・それともそうね、ハヤテくんもこれからは白皇の生徒ですし、
 学校ならいつでも・・・あ、もしかして、生徒会室で・・・なんて」
「――――――っ!」

ぴくっと、ヒナギクの身体が微かに震える。
それでもマリアに気取られないように、必死で抑えはしたのだが・・・

「あらあら、ヒナギクさんったら・・・生徒会室でえっちしようだなんて・・・
 いけない生徒会長さんですわねぇ♪」
「っひ、あく・・・ぅ! ち、ちが・・・わたしっ、別に、なにも、そん・・・ぁあっ、ひぁあ!」
「うふふ、嘘はいけませんわよ〜? 生徒会室って言葉が出た瞬間、ヒナギクさんの中がきゅっと締まるから、
 凄くわかりやすいんですからね〜♪」
「な、そんな・・・あ、ひっ! うそ・・・そんな、あ、あく、ひぅう!」

ヒナギクの中に入り込んだ指は、締め付け具合から彼女の心を察知する役割に集中する為か、
決して派手に動くようなことは無いのだが、それはもはやそこにあるだけで・・・

「ひや・・・ぁ、も、やめて、くださいぃ・・・っあ、ひぐ・・・もう、ぬいてぇ・・・」
「ダメですよ、まだまだこれから、なんですから〜♪
 場所のお約束があるのですから、当然“いつ”するのかも決まっているんでしょうね〜?」
「ひぅ! や、べつに、その―――」
「あ、やっぱりそうなんですね・・・ふふふ、ヒナギクさんの身体って本当に正直なんだから・・・
 これからヒナギクさんにお聞きしたいことがあるときは初めから身体に直接おうかがいしちゃおうかしら♪」
「そんな・・・っ、や・・・やです・・・ぁあっ、うあぁ!」
「そんな風にえっちな声で“イヤ”なんて言われても、悦んでいるようにしか聞こえませんわね〜」

真っ赤になってふるふると震えるヒナギクの表情はマリアの嗜虐欲をますます掻き立てるばかりで、
思わず獲物の味見でもするかのように、ぺろりと彼女の頬に舌を這わす。

「ひん・・・っ、やめて・・・マリアさん・・・もう・・・」
「んふふ〜、それより質問の答えがまだですよ〜?
 次にハヤテくんに注いで貰うのはいつ頃なんでしょうね・・・一週間後とか・・・」
「し・・・知りません・・・っ」
「それとも・・・そうですねぇ、えっちなヒナギクさんのことですし、
 今度の月曜日・・・ハヤテくんが登校した初日から早速、な〜んて・・・
 あらあら、ふふふ、ヒナギクさんのココ、反応良すぎですわよ〜♪」
「し、しりませんっ! 別にハヤテくんとは何も・・・っあ! や、ほんとにっ! なにも、な、あ、ぅあぁ!」

羞恥を煽り言葉と指でヒナギクを弄り、凛々しい顔を被虐的な美しさで染める悦びにマリアは興奮を抑えきれず、
彼女の中にもぐりこませた指の動きが少しずつ荒く、激しくなる。

「それにしても登校初日から生徒会室で、だなんて・・・
 気が付いたら、毎日ハヤテくんにおねだりするようになっちゃったりしてるかもしれませんわね〜♪」
「・・・・・・っ!」

マリアはあくまで言葉弄りのつもりで言ったのだが―――

「・・・あら? あらあらあら〜〜〜? ヒナギクさん、も・し・か・し・て〜?」

「ち、ちがいますっ! 別に、なにも・・・あ、ひぅ! や、やめ、マリアさ・・・あ、ひゃあっ!」
「こんなにきゅうぅって・・・ものすごくわかりやすい締め付けで・・・もしかしてヒナギクさん、
 既にハヤテくんと毎日えっちなことをするお約束でもされちゃったのですか〜?」
「ひっ! ちが、ちがいますっ! や、マリアさんっ! ひぁ、だめ! ゆび、はげしっ! い、ひぁ、うぁあっ!」
「上のおくちで何を言ってもダメですよ〜? 下のおくちが雄弁に答えて下さってるんですから、ね♪」
「ちが、ひぁ、あぁああっ! やめ、ひぁあっ、ゆびっ、ゆびだめぇ! マリアさんっ、だめ、やめ、ひゃああっ!」

ハヤテとの秘め事の密約を暴かれ、消えてしまいたいと思う程に恥じ入るヒナギクを、
マリアの指が容赦なく責め立てる。
それだけ聞けばもう確かめることは無い、とばかりにヒナギクの中に埋められた二本の指が一気に動き出し、
膣壁を浅く深くと擦り上げながら、彼女を身体の内側から愛撫する。

「あくぅ! やめ・・・て、くださ・・・いっ! なか、だめ・・・ゆびっ! うごいてぇ! い、ひゃぁあっ!」

膣内をぐちゅぐちゅと音が出るほど掻き回されて、
ヒナギクはすぐにでも達してしまいそうなくらいにガクガクと身体を揺らし泣き悶えることしか出来ない。
マリアの指にはハヤテに背後から挿入された時の息の詰まるような圧迫感や、
子宮を貫いて脳天まで突き上げられるような荒々しい激しさは無い。
だが、二本の指のそれぞれが別々に、自在に動き、絶妙な緩急をつけてヒナギクの膣を丹念に撫でさすり、
ただでさえ敏感な膣の中の、さらに敏感なところを的確に探り当ててはそこを重点的に責め立てることで、
ヒナギクは抵抗どころか耐えることすら許されず―――

「い、ぁあっ! やめ、や、イ、ひっ! ひゃぁあっ! ぁ、だめ! そこ、はぁっ! い、ひ、ぅあぁああっ!」

探り当てられた特に敏感なスポットを二度、三度と指先で捏ねられただけで、
ヒナギクの脊髄を電気が走り、頭の中が閃光で真白に染まる。
衝撃で跳ねた背中がぼふっ、とベッドに落ちる感触で我に返り、その数瞬の意識が飛んでいたことを悟る。
痺れてガクガクと震える身体と秘所に残る蕩けそうな程の甘美な余韻が、
嫌でも自分がどうなったかを認識させた。

「ヒナギクさんったらこんなに簡単にイっちゃうなんて・・・本当に敏感なんですわね〜
 完全無欠の麗しの生徒会長さんにこんな弱点があるなんて生徒の皆さんが知ったら、
 どう思われますかねぇ・・・うふふ・・・」

絶頂の余韻に痺れながら涙目で自分を見上げるヒナギクに向けて、
マリアは妖艶な笑みを浮かべながら、心底楽しそうに彼女を言葉で弄り続ける。

「ひ・・・いわないで・・・ください・・・っ、もう・・・わたし・・・」
「でも、ヒナギクさんみたいなキレイな方が為す術も無く乱れてイきまくっちゃうっていうのも・・・
 なんだか、ゾクゾクしちゃいますわ〜♪」
「そんな、ぁ・・・お願いです・・・もう、やめて・・・許してください・・・マリアさん・・・お願いです・・・」
「んん〜・・・そうですわねぇ・・・」

少しだけ、考えるポーズ。
僅かでも、ヒナギクが胸に期待を抱いたところで・・・

「ダ・メ、ですわ、ね♪」
「な・・・・・・そ、そん、な・・・」

いつも凛々しく振舞っていたヒナギクが羞恥と絶望で子猫のように哀れに涙ぐむ様子は、
マリアのサディスティックな欲望を際限無く掻き立てる。
そうとも知らず―――いや、例え知っていたとしてもヒナギクには情けを乞うように懇願することしか出来ず、
哀れな獲物は陵辱者を誘うが如く、さえずり続ける。

「どうして、どうしてですかっ!? こんな、これ以上されたら、わたし・・・わたし・・・っ!」
「そうですわねぇ・・・ヒナギクさんはまだ高校生、しかも白皇の生徒会長ともあろう者が、
 生徒会室で毎日毎日男子生徒と淫行する等といった約束をされるなんて・・・」

マリアの表情には妖艶な笑みが絶えないのに、その言葉にヒナギクは背筋がぞくり、と震えて止まらない。
それは会話の内容への後ろめたさもあるが、それ以上に・・・きっと、被虐の予感の故、なのだろう。

「そんなうらやま・・・いえ、破廉恥な会長さんには、かつて同じ立場にいた先輩として・・・
 お仕置きして差し上げなければいけませんからね〜!」

それでお話はお終い、とばかりに、ヒナギクの中に沈められたままの指がぴくんと震え、

「・・・ひ! え・・・ま、マリア、さん・・・や、う、そ・・・」

既に二本の指をくわえ込んだ秘唇に、外側から別の指先があてがわれる。

「ではヒナギクさん、次は指をもう一本増やして見ましょうか♪」
「や、やだ! やです! あ、や・・・や! だめ! もう、入らな・・・あ、ひぁ・・・!」
「イヤ、ですか・・・それは結構ですわ、それでこそのお仕置きですから♪」

既に右手の人差し指と中指をくわえ込んだヒナギクの蜜壷に薬指をあてがうと、
少しずつゆっくりと、つぷ、ぷ、ぷぷ・・・と、膣壁を押し広げながら沈めてゆく。

「あく・・・! は、はいって・・・あ、や、ひぅ・・・う、あ・・・っ、やめ・・・や、あぅう!」

三本目の指が奥へと進むにつれ、ヒナギクの身体の震えは激しさを増し、喘ぐ声はひたすらに高まり―――

「っひ! もう、や・・・! マリアさんっ! だめ、だめダメだめぇええっ! もうっ! ゃ、あ――――――!」

びくん、とヒナギクの身体が仰け反り突っ張って、弛緩してベッドに沈み込む。

「あらあら、入れられただけで軽くイっちゃったんですか〜
 ・・・これはお仕置きのし甲斐がありますわねぇ♪」
「・・・っ、ひぁ・・・っは・・・ぁ、も・・・っ、おねが・・・ゆるして・・・くださ・・・っあ!?
 ひ、ぎ・・・っあ! あふ! っくぁ! ひ、いや、もうっ! もういやぁあああっ!」

開通してまだ間もない狭い膣内を満たす三本の指が、うねうねと動き出す。
絶頂を迎えた直後の特に敏感な蜜壷を容赦なく掻き回し、擦り上げ、撫でさすられて、
その名の通り壷をひっくり返したかのように、ヒナギクの両足の間には蜜が溢れ、
シーツに水溜りが広がって行く。

「ヒナギクさんのここ、溢れ出してとまらなくて・・・なんだかおもらししてるみたいですわね〜?」
「や、ちが・・・! あ、ひぅうっ! いあ、やめ、とめてぇえぇ! もう、あ、また! いやぁあっ!
 んぁああっ! も、ひぁあっ! だめ、イったばかりでっ! まだ、や、動かしちゃぁあああ!」

ヒナギクの身体は痙攣しているかのようにガクガクと揺れ続け、
不規則にびくん、びくんと大きく跳ねては悲鳴のように甲高い嬌声を上げて、乱れ狂う。
三本目の指を挿入されたときから彼女は絶頂の高みに突き上げられたまま下りることを許されず、
ただただその身を襲う凶悪なまでの快楽に抗うこともできず、泣き叫ぶことしか出来なかった。

「いけませんわねぇ・・・生徒会長ともあろう人がそんな泣き叫んでは示しがつきませんよ?
 ん〜、そうですねぇ、そんないけないお口は、こうです♪」
「んぅうっ! あぐ・・・ひっ、やぁああっ! も、ダメぇ! また、イ、んむっ!? んんん――――――っ!」

ヒナギクが望まぬ快楽に打ち震える以外に唯一できたこと―――声を上げて悶え喘ぐことすらも、
マリアの唇によって封じられてしまう。
舌を舌で絡め取られ、唾液と唾液を混ぜ合わされ、口腔中を舐め弄られて、
秘所に沈められた三本の指はひと時の絶え間も無く蠢いて敏感すぎるところを責め苛まれて、
ヒナギクは声を上げることすら許されずただただ絶頂を繰り返す。
彼女の意識は連続で上がる打ち上げ花火の如く絶頂の度に真白に弾け、
徐々に靄がかかったように白いまま戻らない部分が広がってきて、
やがて――――――

 

「っぷぁ・・・ふうっ・・・ヒナギクさん、大丈夫ですか?」
「・・・っ、は・・・ぁ・・・っ、はぁ・・・っ、は・・・い・・・っ、は・・・・・・っ」

反応が希薄になったヒナギクの唇を解放し、
絡みついた蜜でふやけてしまった指を引き抜くとヒナギクは最後にもう一度びくんと震え、
後はふるふると細かく震えながら、力尽きたようにぐったりと横たわる。
荒い呼吸にも力は無く、それが寝息に変わるのは時間の問題に思われた。

「御免なさいね、ヒナギクさんがあんまり可愛かったものですから、ついつい可愛がりすぎちゃいました」
「いえ・・・ふ・・・ぁ・・・」
「ふふ・・・お詫びに、もうハヤテくんとのことは何も言いませんから、
 来週からは思う存分、抱かれてくださいね〜♪」
「え・・・は、はい・・・」

ヒナギクの疲弊し切った顔に、僅かな赤みが差す。
それをクスクスと微笑とともに眺めながら、

「でもその代わり・・・たまには三千院のお屋敷にも遊びにきて下さいね?
 私もヒナギクさんと会えないのは寂しいですから、ね♪」
「は・・・はい・・・」
「ふふ・・・そうしたら・・・」

普段の優しげな微笑に戻っていたマリアの表情に、一瞬だけ妖しい艶が混ざるのを、
その表情に見入られ続けていたヒナギクはイヤでも気付いてしまう。

「今度は本当に・・・ハヤテくんと二人で、たっぷりと・・・苛めて差し上げますから、ね・・・」

ヒナギクの耳元に顔を寄せ、囁くように言うと、彼女の反応を待つ。
その言葉にヒナギクは僅かに身を固くして、ぞくり、と微かに震えてから、

「は、い・・・よろしく、おねがい・・・します・・・」

そう答えたヒナギクの顔には怯えの色と同時に・・・
覚えたばかりの感覚に期待してしまう自分を抑えきれないかのような、
彼女らしからぬ淫蕩な色が浮かんでいた。
ヒナギクの表情にマリアは満足して顔を上げ、

「うふふ、楽しみにしていますね♪
 では、お疲れかと思いますが急いでベッドを整えなおしますので、すこしだけそこの椅子に・・・って、あら」

すぅ・・・、と。
マリアが気を回す間もなく、ヒナギクは限界を迎えたのか、既に寝息を立て始めていた。

「まぁ、仕方ありませんわね・・・では、少々失礼いたしまして・・・」

眠るヒナギクを起こさないようにしながら、
一流の名にそぐわぬ器用さでシーツを替え、身体を拭い、新しい下着とパジャマを着せ付ける。
最後に布団をかけてやると部屋の灯りを落として、

「それではお疲れ様でした、おやすみなさい、ヒナギクさん。
 ・・・さてさて、私のお嬢様と、あの子の王子様は果たして上手く行っていますかね〜♪」

さも楽しそうに、自室を辞すると、彼女の主の部屋へと向かうのだった。







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